コラム

電気事業

自主検査(10000V未満の需要設備)

実施根拠

自家用電気工作物の設置者が電気事業法第42条1項及び施行規則第50条に基づき保安規程を定めた各条項中「工事の計画及び実施」が自主検査の実施根拠となります。

試験・検査項目

  • 接地抵抗測定
  • 外観検査
  • 絶縁耐力試験
  • 高圧機器銘板記録
  • 保護継電器試験
  • 低圧電路絶縁抵抗測定
  • インターロック試験
  • 総合試験(自動シーケンス等)
  • 保護連動試験 受電立会試験(相合わせ・電圧確認等)
電気事業

使用前(法定)自主検査(10000V以上の需要設備)

使用前自主検査要領書

  • 使用前自主検査を適確に実施するにため、次の安全管理審査基準を満たす使用前自主検査要領書を作成いたします。
  • 使用前自主検査要領書は5年間の保存が必要です。

安全管理審査基準

1.検査の方法等
(1)検査要領
技術基準及び関係通達を基に日本工業規格、民間規格等の参考にしながら、検査の方法及び判定基準を適切に決定するとともに、検査要員、使用する測定器の操作等、試験条件、審査の方法及び判定基準をとりまとめた検査要領が適切に定められていること。
(2)検査要員
検査の内容に応じ操作、観察、測定、記録等の検査要員を必要な数配置するとともに、それぞれの連携がとられていること。また、検査要員が、検査の内容に応じ必要とさせる能力を有すること。
(3)測定器等
使用する測定器、試験装置等の仕様が検査の内容に応じ適切なものであるとともに、所要の校正、点検等を行っていること。

2.検査の実施
検査の実施状況が、検査要領に従ったものであること及び下記の事項に適合すること。
(1)検査の実施環境
検査の実施場所の気温、湿度、騒音、振動等の環境条件は、検査の内容に応じ適切なものであること。
(2)データの採取及び記録
データの採取及び記録が適切に行われていること。
(3)不具合発生時の処置
異常データの発生等不具合発生時の処置が適切にとられ、その結果が記録されていること。

3.結果の評価
検査結果を判定基準に照らし適切に評価していること。
検査結果が判定基準を満足しないか、又はこれが不明な場合は、その原因を検討し補修、取替え等の措置を講じるとともに、所要の再検査を実施していること。また、これらの内容を記録していること。

使用前自主検査の方法の解釈

電気事業法施行規則第73条の4に規定する十分な使用前自主検査の方法については、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官通達(平成25年3月14日20130214商 局 第3号)により、第73条の4の解釈として具体的方法が公示されている。(溶接自主検査、定期自主検査等の具体的方法についても公示されている。)
なお、この解釈に示されたものに限定されるものではなく、十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、同条に適合するものと判断されるとしている。
解釈は、水力発電所、火力発電所、変電所、送電経路、太陽電池(風力)発電所、燃料電池発電所及び需要設備のそれぞれについて定められている。
各設備ごとの電気関係の検査項目の外観検査、接地抵抗測定、絶縁抵抗測定、絶縁耐力試験、保護装置試験、遮断器関係試験、及び騒音・振動測定等は、共通的な方法となっている。なお、電気設備技術基準に規定されているものは、その規定に適合しているかを確認することとなる。
需要設備に関する通達の内容を示すと下記のとおりである。

需要設備

(1)外観検査
(a)

検査方法
検査対象となる電気工作物の設置状況について、工事の計画に従って工事が行われていること及び電技に適合していることを目視により確認する。
なお、判定基準の①、②、③、⑨、⑫、⑬を確認する場合は書類等によって確認することもできる。
(b)

判定基準
①必要な箇所に所定の接地が行われていること。(電技解釈第17条~第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条~第29条、第37条)
②アークを発生する器具と可燃性物質との離隔が十分であること。(電技解釈第23条)
③高圧又は特別高圧用の機械器具の充電部が、取扱者が容易に触れないように施設されていること。(電技解釈第21条、第22条)
④高圧及び特別高圧の電路において電線及び電気機械器具を保護するため必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること。(電技解釈第34条、第35条)
⑤高圧又は特別高圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること。(電技解釈第34条)
⑥高圧及び特別高圧の電路に地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること。(電技解釈第36条)
⑦高圧及び特別高圧の電路において、架空電線の引込口及び引出口又はこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること。(電技解釈第37条)
⑧変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所(以下「変電所等に準ずる場所」という)の周囲に、柵、塀等が施設されており、出入口に施錠装置及び立入禁止表示が施設されていること。(電技解釈第38条)
⑨変電所等に準ずる場所の周囲の柵、塀等の高さと柵、塀等から特別高圧の充電部までの距離との和が規定値以上であること。(電技解釈第38条)
⑩中性点直接接地式電路に接続する変圧器には、油流出防止設備が施設されていること。(電技第19条第10項)
⑪特別高圧用の変圧器、電力用コンデンサ又は分岐リアクトル及び調相機に必要な保護装置が施設されていること。(電技解釈第43条)
⑫ガス絶縁機器等の圧力容器が規定どおり施設されていること。(電技解釈第40条)
⑬検査の対象となる電気工作物が工事計画書の記載事項どおりに施設されていること。

(2)接地抵抗測定
(a)

検査方法
次に示す接地方法に応じて以下の測定方法により接地抵抗値を測定する。
①機器ごとに接地する「単独接地」;直読式接地抵抗計による測定
②いくつかの接地箇所を連絡して接地する「連接接地」;直読式接地抵抗計による測定
③接地線を網状に埋設し、各交流点で連接する「網状(メッシュ)接地」;電圧降下法による測定

なお、連接接地法及びメッシュ接地法により接地されている場合であって、変更の工事の場合は、当該設備と既設接地極・網との導通試験に替えることができる。

(b)

判定基準
接地抵抗値が電技解釈第17条又は第24条第1項第2号で規定された値以下であること。

(3)絶縁抵抗測定
(a)

検査方法
①低圧電路の絶縁測定は特に必要と認められる回路について行うものとする。
②高圧及び特別高圧電路の絶縁抵抗測定は絶縁耐力試験の回路について行う。
③絶縁抵抗の測定は、JIS C1302「絶縁抵抗計」に定められている絶縁抵抗計を使用するものとし、低圧の機器及び電路については、500V絶縁抵抗計、高圧又は特別高圧の機器及び電路については、1,000V絶縁抵抗計を使用して測定する。
④絶縁抵抗値は「1分値」を採用するものとする。ただし、被測定機器の静電容量が大きいため(長い地中ケーブル等を含む場合)短時間では絶縁抵抗計の指針が静止しないときは、指針が静止後の値を採用する。(3分以上測定を継続する必要はない。)
(b)

判定基準
①低圧電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、電路の使用電圧が300V以下で対地電圧が150V以下の電路では0.1MΩ以上、300V以下で対地電圧が150Vを超えるものは0.2MΩ以上、300Vを超える低圧電路では0.4MΩ以上であること。
②高圧及び特別高圧の電路については、大地及び他の電路(多心ケーブルにあっては他の心線、変圧器にあっては他の巻線)と絶縁されていることが確認できること。

(4)絶縁耐力試験
(a)

検査方法
電力回路や機器の使用電圧に応じて電技解釈第14条から第16条までに定められている試験電圧を印加する。
また、特別高圧の電路、変圧器の電路及び器具等の電路の絶縁耐力を電技解釈第15条第4号、第16条第1項第2号又は第16条第6項第3号に基づき絶縁耐力試験を実施したことを確認できたものについては、常規対地電圧を電路と大地との間に連続して印加することができる。
なお、常規対地電圧とは、通常の運転状態で主回路の電路と大地との間に加わる電圧をいう。
(b)

判定基準
試験電圧を連続して10分間加えた後、絶縁抵抗測定を行い絶縁に異常のないこと。また、電技解釈第15条第4号、第16条第1項第2号又は第16条第6項第3号によって実施した場合には、常規対地電圧を連続して10分間加え、絶縁に異常がないこと。

(5)保護装置試験
(a)

検査方法
電技解釈第34条、第36条又は第43条で規定される保護装置ごとに、関連する継電器を手動等で接点を閉じるか又は実際に動作させることにより試験する。
(b)

判定基準
関連する遮断器、故障表示器、警報装置、遮断器の開閉表示等が正常に動作すること。

(6)遮断器関係試験
(a)

検査方法
①付属タンク(アキュームレータを含む。以下同じ。)の容量試験
遮断器又は開閉器について、操作用駆動源(圧縮空気、圧油等)の付属タンクの供給元弁を閉じて、圧縮空気等が補給されない状態で入切の操作を連続して1回以上(再閉路保護方式の場合は2回以上)行い、当該機器の動作、開閉表示器の表示を確認する。
なお、遮断器に不完全投入(開放)を防止するための鎖錠装置がある場合は、付属タンクの圧力を変動させて鎖錠及び復帰用圧力継電器の動作を行わせ、当該機器の動作、開閉表示器の表示を確認する。
②駆動力発生装置自動始動停止試験
付属タンクの排出弁を静かに開いて圧力を徐々に下げ駆動力発生装置を自動始動させ、その時の圧力を測定する。駆動力発生装置が始動した後に排出弁を閉鎖して圧力を徐々に上げ、運転中の駆動力発生装置が自動停止する時の圧力を測定する。
③駆動力発生装置付属タンク安全弁動作試験
付属タンクの出口止め弁を閉めて、駆動力発生装置を運転して圧力を徐々に上げ、その付属タンクに設置してある安全弁の吹出圧力を測定する。
(b)

判定基準
①設定どおりの動作が行われていること。
②自動始動及び自動停止が設定圧力の範囲内で行われていること。
③安全弁の吹出圧力が付属タンクの最高使用圧力以下であること。

(7)負荷試験(出力試験)
(a)

検査方法
当該変圧器の定格容量又は通常の運転状態における負荷に保持して変圧器の各部の温度が飽和状態になるまで連続運転し、変圧器の異常な温度上昇、異常振動、異音等の有無を計器及び所内巡視等の方法により確認する。
ただし、電技解釈第20条に基づき温度上昇試験を実施したことを確認できたものについては、現地での負荷試験は省略できるものとする。
(b)

判定基準
試験状態において温度上昇値に異常が認められないこと。

(8)騒音測定
(a)

検査方法
騒音規制法第2条第1項に規定する特定施設を設置する変電所等に準ずる場所であって、同法第3条第1項に規定する指定地域内に存する変電所等に準ずる場所について、JIS Z8731に規定する方法によって測定を行う。
(b)

判定基準
騒音規制法第4条第1項又は第2項の規定による規制基準に適合していること。

(9)振動測定
(a)

検査方法
振動規制法第2条第1項に規定する特定施設を設置する変電所等に準ずる場所であって、同法第3条第1項に規定する指定地域内に在する変電所等に準ずる場所について、特定工場等において発生する振動に関する基準に規定する方法によって測定を行う。
(b)

判定基準
振動規制法第4条第1項又は第2項の規定による規制基準に適合していること。

 

使用前自主検査記録の必要事項

試験成績表には次に揚げる事項を記入しなければなりません。

一 検査年月日
二 検査の対象
三 検査の方法
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
七 検査の実施に係る組織
八 検査の実施に係る工程管理
九 検査において協力した企業者がある場合は、当該事業者の管理に関する事項
十 検査記録の管理に関する事項
十一 検査に係る教育訓練に関する事項

電気事業

使用前安全管理検査

当社は安全管理審査、受審の支援を行っております。
安全管理審査には「システム安全管理審査」と「個別安全管理審査」があります。自家用電気工作物(需要設備)は全て個別安全管理審査の対象となります。

使用前安全管理審査までの工程の流れ

使用前安全管理審査までの工程の流れ 

使用前安全管理審査申請に必要な書類

使用前安全管理審査申請書・・・・・・・・・・・正・副2部
審査手数料   【新設】 119,400円   【変更】 75,100円

使用前安全管理審査調査票・・・・・・・・・・・1部

工事計画の記載事項等の変更について・・・正・副2部

使用前安全管理審査の内容

  • 使用前安全管理審査は産業保安監督部の審査官が現場にて審査を行います。
  • 審査は主に文書審査で、使用前自主検査の実施方法が適切か否かということを使用前自主検査要領書・試験記録表で確認されます。
  • 審査終了後、受変電設備の外観を検分し工事計画届出書と相違がないか確認されます。
  • 審査終了後、審査の確認書に審査官と設置者(電気主任技術者)が署名し、双方で確認して保持します。
  • 後日、産業保安監督部より評価通知が郵送されてきます。
挨拶・概要説明
挨拶・概要説明
文書審査
文書審査
外観検査
外観検査

使用前安全管理審査制度について

電気事業法の安全管理審査制度について
平成12年7月1日より

国が直接電気工作物の技術基準適合性を検査(使用前検査)する規制を無くし、代わって設置者が自主検査を行って技術基準適合性を確認し、検査記録を保存することが義務づけられました。
設置者は上記で行った自主検査の体制(検査方法)について国の審査方法を受け取ることが義務づけられました。
工事計画の届出をした施設のうち使用前(法定)自主検査が必要なものは(施行規則第73条の2)国の検査を受け取ることが無くなり、代わって使用前安全管理審査が実施されることになります。
安全管理審査において、法定自主検査が適切に行われていない疑いが生じた場合には、立入検査・報告命令・任意調査によって事実関係を確認し、違法行為が行われていることが明らかになったときは罰則適用等の処置となります。

使用前安全管理審査概要について

(平成12年7月1日より施行)

1.安全管理審査導入の趣旨

事業者用電気工作物の保安確保にあたり、電気事業法では、国が電気工作物の技術基準適合性等を直接確認する規制体系をとってきました。具体的には、一定の事業用電気工作物については、工事計画の認可・届出に係らしめるとともに、通商産業大臣が使用前検査・溶接検査・定期検査を行ってまいりました。
しかしながら、近年の技術進歩・設置者等による自主的な保安確保のための取組の浸透等を背景として、国が直接電気工作物の技術基準適合性等を確認するのではなく、設置者等の自己責任の下で保安確保のための取組をより一層推進することを促すことの方がより合理的な規制体系であると考えられるようになりました。
このような考え方に基づき、平成11年の通常国会において電気事業法が改正され、安全管理審査制度が導入されました。安全管理審査制度の骨格は以下の通りです。(以下参照する条項は、特に注記がなければ改正後の規定です。)

国が直接事業用電気工作物の技術基準適合性等を検査する規制をなくし、代わって、設置者が自主検査を行って技術基準適合性等を確認し、検査記録を保存することが義務づけられます。(電気事業法第50条の2第1項・第2項、第52条第1項・第2項、第55条第1項)

設置者は、①で行った自主検査の体制(組織、検査方法、工程管理等)について、国の審査を受けることが義務づけられています。(電気事業法第50条の2第3項・第4項、第52条第3項・第4項、第55条第2項・第3項)

国は、審査結果に基づいて設置者の自主検査体制を評定し、設置者に通知します。通知された評定結果が優良であれば、以後の審査頻度が軽減されます。(電気事業法第50条の2第3項・第6項・第7項、第52条第3項・第5項、第55条第2項・第4項)③に示すように、設置者の自主検査体制が優良であれば、当該設置者に対する審査頻度は軽減されます。このことにより、設置者に自主検査体制を整備するインセンティブをはたらかせ、自主保安を促進しようとするのが安全審査制度導入の趣旨です。
なお、安全管理審査の評定が優良でなくとも、直接罰金等の罰則が科されることはありません。また、従来の検査と異なり、安全管理審査の評価が優良でなくても、直ぐに電気工作物の使用ができなくなるということはありません。ただし、自主検査を実施していない場合は、罰則の対象となり、安全管理審査の機会に電気工作物が技術基準に適合していないことが明らかになった場合には、技術基準適合命令の対象となります。

2.安全管理審査に係る設備

安全管理審査の対象となるのは、法定自主検査(使用前自主検査、溶接自主検査、定期自主検査)を実施した設置者です。
また、法定自主検査を実施することが必要となる電気工作物は、基本的に現行電気事業法で国の検査対象となっている電気工作物です。すなわち、

現行の使用前検査対象電気工作物≒改正後の使用前自主検査対象電気工作物
現行の溶接検査対象電気工作物≒改正後の溶接自主検査対象電気工作物
現行の定期検査対象電気工作物≒改正後の定期自主検査対象電気工作物

となります。これらの電気工作物については、改正電気事業法施行に伴い、国の検査を受け取ることがなくなり、代わって、法定自主検査→安全管理審査が実施されることになります。
なお、原子力関係設備に係る使用前検査・定期検査は電気事業法改正後も存続し、現行どおりの規制がなされることになります。よって、法定自主検査→安全管理審査という規制はかかりません。(溶接については、原子力も法定自主検査→安全管理審査の規制へと移行します。)

3.安全管理審査の受審単位

安全管理審査の受審単位は、同一の法定自主検査体制が構築される組織ごととなります。すなわち、設置者AがX発電所とY発電所とで別々の法定自主検査体制を構築している場合、安全管理審査はX、Yを別の対象として審査することになります。同様に、設置者Aがある検査においては下請会社Xに検査の一部を請け負わせ、別の検査においては下請会社Yに請け負わせることによって、2つの検査について異なる検査体制が構築されているといえる場合には、A-Xの組み合せとA-Yの組み合わせとは別の対象として審査します。
同一の検査体制が構築されいている組織の範囲は、設置者の個別事情によって異なることに鑑み、法令等で画一的に受審単位を設定するのではなく、設置者の判断に委ねられることとされています。ただし、電気事業審議会基本政策部会電力安全問題検討小委員会報告(平成11年)においては、1つの目安として、以下のような単位が安全管理審査の受審単位として示されています。
使用前自主検査 定期自主検査 溶接自主検査
火力設備 建設所・発電所 発電所 設備
原子力設備 - - 設備
送変電設備 建設所・支店 - -
需要設備 設置事業所 -
水力設備 建設所・工事事務所・支店 - -
検査の一部をメーカ等に下請けさせている場合であって、当該メーカー等が検査体制の良し悪しに影響を与えているようなとき(例えば、当該メーカー等が独自に検査マニュアルの一部を作成している場合等)には、メーカー等が異なれば別の組織と考えることが適当です。他方、検査マニュアル等は設置者自らが完全に整備し、下請けをあくまでも「補助」として使用している場合には、下請け会社が異なっても同一の検査体制の範囲にあると考えられます。なお、前者のようなケースにおいては、設置者のみならず、メーカー等の検査体制も安全管理審査の審査対象となります。

4.安全管理審査の受審時期

安全管理審査の受審時期は以下の通りです。

(1) 使用前安全管理審査(電気事業法施行規則第73条の6)
① 直近の通知で優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから3年を越えない時期に使用前自主検査を実施した組織に限る。)
直近の通知を受けてから3年~3年3ヶ月の間に安全管理審査を受審しなければなりません。
② ①以外の組織
使用前自主検査を行う時期ごとに安全管理審査を受審しなければなりません。
具体的には、水力発電所のダムについては使用前自主検査実施中、それ以外の設備については使用前自主検査終了後遅滞なく(原則1月程度)受審することが義務づけられます。

(2)溶接安全管理審査(電気事業法施行規則83条の2)
① 直近2回の通知で連続して優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから3年を越えない時期に溶接自主検査を実施した組織に限る。)
A.直近の通知を受けてから3年~3年3ヶ月の間、及び
B.耐圧試験を行う時期
に安全管理審査を受審しなければなりません。Bの時期には、耐圧試験実施中に受審することが義務づけられます。
このうち、原則、Aの時期にはシステム安全管理審査(後述)を実施し、Bの時期には個別安全管理審査(後述)を実施します。Bの時期に個別安全管理審査を実施した後は、法定自主検査の実施体制について非優良となる事実が明らかになったときに非優良通知を通知する場合を除き、評定結果は通知しません。
② 直近1回だけの通知で優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから1年を越えない時期に溶接自主検査を実施した組織に限る。)
A.直近の通知を受けてから1年~1年3ヶ月の間、及び
B.耐圧試験を行う時期(火力等)非破壊試験・機械試験・耐圧試験を行う時期(原子力)
に安全管理審査を受審しなければなりません。Bの時期には、各々の試験の実施中に受審することが義務づけられます。
このうち、原則、Aの時期にはシステムの安全管理審査を実施し、Bの時期には個別安全管理審査を実施します。Bの時期に個別安全管理審査を実施した後は、法定自主検査を実施体制について非優良となる事実が明らかになったときに非優良通知を通知する場合を除き、評定結果は通知しません。
③ ①、②以外の組織
溶接自主検査を行う時期ごとに、溶接自主検査実施中に安全管理審査を受審することが義務づけられます。
(3) 定期安全管理審査(電気事業法施行規則第94条の5)
① 直近の通知で優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから3年を越えない時期に定期自主検査を実施した組織に限る。)
直近の通知を受けてから3年~3年3ヶ月の間に安全管理審査を受審しなければなりません。
② ①以外の組織
定期自主検査を行う時期ごとに、定期自主権査終了後遅滞なく(原則1月程度)定期安全管理審査を受審することが義務づけられます。

5.安全管理審査の審査基準

安全管理審査制度の趣旨は、前述のとおり、設置者が継続的な安全管理体制を構築することを促すことにあり、原則、審査基準は、法定自主検査の実施体制が適切か否かを判断するという観点から設定された「システム管理実施者に対する安全管理審査の実施に係る審査基準及び審査項目」が適用されます(システム安全管理審査)。
しかしながら、法定自主検査の頻度が極端に少ない等の事情により、コストをかけて継続的な安全管理体制を構築することが必ずしも合理的でない設置者もあり、このような設置者に対しては法定自主検査の実施体制を審査する意義がないと考えられます。また、継続的な安全管理体制を構築している設置者についても、溶接安全管理審査における工程中審査(耐圧試験等の試験時に行う審査)においては、遂一法定自主検査の実施体制を確認する必要はないと考えられます。このような場合においては、個々の法定自主検査が適切な方法で処理されたか否かを判断するという観点から設定された「個別管理実施者及び法定自主検査の工程中に係る安全管理審査基準及び審査項目」が適用されます(個別安全管理審査)。
個別安全管理審査においては、個々の法定自主検査が適切になされたと判断されても、優良判定が下されることはありません(優良評定はあくまでも優良な法定自主検査実施体制を構築している組織に対してのみ下されるもの)。他方、個別安全管理審査で個々の法定自主検査が適切に行われていないと判断されたときには、電気事業法違反として罰則等に問われうることになります。

(1) システム安全管理審査
システム安全管理審査においては、品質保証システムの国際標準として広く受け入れられているISO9000シリーズの要求事項をベースとしつつ、法定自主検査に援用することが不適当な項目(「設計管理」等)を除くとともに、電気事業法に特有の項目(主任技術者に関する項目等)を加えて審査基準としています。
また、法定自主検査を実施する組織が既に安全管理審査に基づきシステム管理実施者としての評定を受けており、法定自主検査に当該評定を受けた安全管理体制が適用されることが確認される場合又は既に他の品質保証に関する認証制度により認証を受け、当該認証を受けた安全管理体制が法定自主検査に適用されることが確認される場合には、当該評定又は認証の対象及び基準の範囲内において、システム安全管理審査基準に揚げる項目の一部を省略することがあります。

(2)個別安全管理審査
個別安全管理審査においては、法定自主検査の実施方法が適切か否かということを立会・記録確認等で確認します。

6.安全管理審査の処理手順

(1)申請
設置者は電気事業法第73条の7、第84条及び第94条の6に基づき安全管理審査を受審すべき時期に安全管理審査の申請を行います。工程中審査及び法定自主検査に関する継続的な品質システムが整備されていないことが申請時に明らかな組織に対する審査については、個別安全管理審査を実施し、それ以外はシステム安全管理審査を実施するものとします。また、システム安全管理審査開始後、法定自主検査を実施する組織が後続的な法定自主検査体制を構築していないと明らかに判断された場合には、個別安全管理審査に切り替えるものとします。

(2) 審査体制
安全管理審査は、原則、文章審査・実地審査・評価を全て行うものとします。
文章審査においては、申請者の協力を得られる限り、関係資料の提出を受け、電気工作物設置者の法定自主検査に係る社内組織体制(システム安全管理審査に限る。)、電気工作物設置者の関係文書の整備状況等を確認するものとします。
実地審査においては、電気工作物設置者の組織体制・文書整備状況等について文書審査で確認できなかった点の確認、事業者があらかじめ規定した検査実施体制・検査実施方法等どおりに法定自主検査が行われたか否か、適切な方法で法定自主検査が行われたか否かについて、検査記録・検査関係者からの聞き取りによる確認、事業者があらかじめ規定した検査実施体制・検査実施方法どおりに法定自主検査が行われたか否か、適切な方法で法定自主検査が行われたか否かについて、法定自主検査に実際に立ち会うことによる確認(溶接安全管理審査、水力発電所のダムに係る使用前安全管理審査に限る。)等を行うものとします。
実地審査は、原則、法定自主検査が実施された事業所等で行います。但し、検査記録が法定自主検査が実施された事業所等と異なる場所で保管されている場合には、記録が保管されている場所においても併せて行うものとします。
また、システム安全管理審査に係る実地審査については複数名で実施するものとします。

(3) 評定・通知・その他
システム安全管理審査を行った結果、法定自主検査を実施した組織について、評価終了時までにシステム安全管理審査基準の全項目に適合する場合には、当該組織に対して、十分な法定自主検査実施体制が構築されている旨の通知(優良通知)を行います。また、システム安全管理審査基準に揚げる項目のうち、適合しない項目がある組織に対しては、その項目と理由を示すとともに、十分な法定自主検査体制がとられていない旨の通知(非優良通知)を行います。
直近のシステム安全管理審査において優良通知を受けている組織について、個別安全管理審査等にシステム安全管理審査基準に適合しない事実が明らかになった場合には、非優良通知を行いますがこれ以外の場合には、特段の通知は行いません。
個別安全管理審査を実施した組織(直近のシステム安全管理審査において優良通知を受けている組織を除く。)については、安全管理審査終了後、非優良通知を行います。
安全管理審査において、法定自主検査が適切に行われていない疑いが生じた場合には、立入検査・報告命令・任意調査等によって事実関係を確認し、違法行為が行われていることが明らかになったときには罰則適用等の措置を行います。

電気事業

工事計画の届出について

自主検査(10000V未満の需要設備)

工事計画の届出が必要となる目安は、下記の通りになります。

《需要設備新設工事に係わる工事計画届出書の有無》

工事計画の届出が必要となる目安

 

 

※注1 契約電力の算出は、電力会社との協議にて決定します。
※注2 段階契約の場合は最終の契約電力値とします。
※注3 複数の電力会社等と契約する場合(コージェネ含む)は相互の契約電力を合わせた値が最大電力値となります。
※注4 届出た物件については全て使用前安全管理検査を行わなければいけません。
※注5 産業保安監督部の使用前安全管理審査申請料(新設)は119,400円です。

《需要設備変更工事に係わる工事計画届出書の有無》

(1)受電用遮断器a) 設 置
b) 改 造
c) 取 替

需要設備変更工事に係わる工事計画届出書の有無》 受電用遮断器

(2)電圧1万ボルト以上の機器
a) 設 置
b) 改 造
c) 取 替

需要設備変更工事に係わる工事計画届出書の有無》 電圧1万ボルト以上の機器

(3)電線路
a) 設 置
b) 延 長
c) 改 造
d) 昇 圧
e) 位置変更

《需要設備変更工事に係わる工事計画届出書の有無》電線路

《需要設備変更工事に係わる工事計画届出書の有無》電線路

 

 

※注1 6kV受電の需要設備においては、平成15年3月28日の経済産業省令第35条により届出が不要となりました。
※注2 変更工事「設置」「改造」「取替」の説明として、「設置」とは新設、増設またはおきかえを、「改造」とは構造、強度、機能等の変更を、「取替」とは全く同じ製品(同一メーカーの同一型式のもの)と取替えることを意味します。特に、受電用CBの交換等において、同じ製品以外のものに変更する場合は、「取替」ではなく、おきかえすなわち「設置」にあたることにご注意ください。また、使用中のものを移設する場合も、「設置」にあたります。
※注3 産業保安監督部の使用前安全管理審査申請料(変更工事)は75,100円です。

工事計画届出が必要な場合

(受電電圧10000V以上の需要設備を新設・変更する場合)

工事計画届出が必要な場合

工事計画届出が不要な場合

(受電電圧10000V未満の需要設備を設置する場合)

工事計画届出が不要な場合

電気事業

東京電力への電気使用申込フロー

申し込みから受電までの概要

東京電力への電気使用申込フロー 申し込みから受電までの概要

電気事業

定期点検の概要と規則

  1. 定期点検は電気事業法第42条及び施行規則第50条で定め産業保安監督部に届け出た、保安規程に基づいて定期点検を実施しなければなりません。
  2. 点検内容及び点検周期については保安規程に定めてありますが、保安規程を作成するとき、市販品を使用するか、必携等のモデルを引用して作成しているため、点検内容・周期があらゆる前提条件となる事項を記載しているのが一般的です。
  3.  電気設備はビル・ホテル・病院・工場等により設備内容・運用方法がちがいますので定期点検方法も違ってきます。
    定期点検の仕様・点検日・点検時間等は事前に決めておく必要があります。
  4. 定期点検仕様を作成する参考文献としては下記のものがあります。
    産業保安監督部 監修 国土交通大臣官房官営善部 監修
    自家用電気工作物必携Ⅱ 建築保全業務共通仕様書
  • 当社は法令に基づく、電気設備の維持・運用に関する保安のための定期点検を電気主任技術者に協力し実施しております。
  • メーカ等が行う機器点検ではありません。
  • 施設に即した定期点検内容を提案いたします。
電気事業

変電設備の点検周期はどのように決定するか?

自家用電気工作物の設置者は電気事業法第42条第1項の規定により産業保安監督部へ保安規程を届出ます。その保安規程は各設置者が電気保安業務の運用の 実態に合わせて作成すれば良い事となっています。(電施規50条 自主的な保安)

作成にあたっては、いくつか必ず記載しなければならない項目があり、その中に 『事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関するための巡視、点検及び検査に関すること』とあります。保安規程には定期点検周期および点検項目が記されて おりそれに沿って点検するのが一般的です。

よって、国からの直接監督ではなく、『設置者自ら定めた点検周期で定期点検を行う』という自己責任原則を 重視した自主保安体制の中で点検を行うこととなります。

電気事業

みなし設置者とは?

 本来の設置者から自家用電気工作物の保安の監督に関わる業務の委託を受けている者のうち維持・管理主体である者であって、当該自家用電気工作物を技術基準に適合するよう維持する責任を有する者については、設置者とみなして電気主任技術者の選任及び保安規程に係わる届出・申請を行うことができます。この設置者とみなさらた者を『みなし設置者』といいます。そのためそれ以外の手続きは本来の設置者が行うことになります。

本来設置者とみなし設置者の適用区分
【みなし設置者の権限、義務、責任】
 電気事業法第39条第1項の維持業務(みなし設置者の適応範囲内)
 電気事業法第42条の保安規程の届出
 電気事業法第43条の電気主任技術者の選任
 電気事業法第106条の報告微収
 電気事業法第107条の立入検査

【本来設置者の権限、義務、責任】
 電気事業法第39条第1項の維持業務(みなし設置者の適応範囲外)
 電気事業法第42条の保安規程の策定(みなし設置者の職務を規定)
 電気事業法第43条のボイラータービン主任技術者、ダム水路主任技術者の選任
 電気事業法第48条の工事計画の届出
 電気事業法第51条使用前安全管理検査
 電気事業法第52条溶接安全管理検査
 電気事業法第55条定期安全管理検査の実施等
 電気事業法第106条の報告微収
 電気事業法第107条の立入検査
 報告規則第2条(定期報告)
 報告規則第3条(事故報告)(本来の設置者又はみなし設置者)
 報告規則第4条(公害防止に関する届出)
 報告規則第5条(発電所出力変更等の報告)
 大気汚染防止法の関係法令。